「楠葉だより」の世界

恩師である木南卓一先生の「楠葉たより」の第五編が先月出版された。

先生がガリ版刷りにて自然と人生についての折々の感想を綴られてから、

もう52年にもなるといいます。小生が初めに「楠葉たより」に最初に

接したのは昭和49年5月発刊の御本でした。それから数えても40年と云う

長い年月になります。先生は東洋哲学の思想家として大学で教鞭をとられ、

その後も一貫持続されての執筆でした。

まもなく、90歳にもなられる御高齢にもかかわらず今日まで428信綴られてきました。

東洋古典の深い学殖と思索が折々の自然観察の随想とともに綴られた「楠葉たより」
から得たものはけだし絶大なものがあります。

先生の著書をつうじて仏教以外の儒者の著書なども勉強することになったのは先生の

楠葉だよりの影響です。有り難い学恩をいただいております。今回体調がすぐれず

たよりを定期的に綴ることができないことから、最後の「楠葉たより」発刊と

なってしまいました。東洋的自然観察と人生の智慧を得るにはこの「たより」がなによりの

寶でしたが、これからはそれまではまとめて発刊された「楠葉たより」を再読三読しながら

読書の友としたい。そんな感慨を持ちました。