『八犬伝』を読む

『八犬伝』を読む

瀧澤馬琴といえは江戸時代を代表する読本(よみほん)作家です。たまたま古書店をのぞいたら
白井恭二の現代語訳上下二冊本を見つけたので、ここ数日かけて読了したところです。

『南総里見八犬伝』は馬琴の四十代に書き始めたのでしたが読者の圧倒的な支持もあり書き継ぎして
完成したのがなんと28年後であります。小説をこれほど長く書き続けた精力は絶大なものがあり
ますね。まして60半ばを過ぎたころには重なる著述の疲れが原因でしょう。視力の減退が悪化。
完結に至るまでの8・9年は嫁の口述筆記に頼って出来上がったという凄まじいほどの

執念でした。河出書房の文庫版で読んだのですが、上巻下巻で優に1000ページもの大冊です。わが
日本文学でも稀にみる長い小説をの読者が心待ちにして読んだベストセラ-なんですね。

馬琴の該博な知識によるこの伝奇小説を今度は原文で読む機会があればぜひともトライしたい
ものです。馬琴のことについては文豪幸田露伴「馬琴の小説と其の当時の實社会」が大変
有意義です。

「南総里見八犬伝」