獨坐
焚香独坐長松下 香ヲ焚イテ独坐ス長松ノ下
風吹寒露湿禅衣 風吹寒露 禅衣ヲ湿ラス
有時定起下雙澗 有ル時ハ定ヨリ起チテ雙澗ヲ下リ
瓶汲五更残月帰 瓶ニハ五更ノ残月ヲ汲ンデ帰ル
日一日と秋も深まりつつあります。宗門最高の偈頌集「大智偈頌」の
一首です。五更はいまの午前四時ごろです。この時間帯は全くの
暗闇です。早起き鳥の声ひとつしません。森閑としたなかでの
早朝の坐禅です。じつに静かなひとときです。
同じ時間に坐禅をすると、この有名な漢詩を想いだします。世間の
雑音から程遠いところで坐る歓びがこの偈頌になったのでしょう。