夏の『楠葉だより』から
『楠葉だより』は木南卓一先生から届けられた年三四度の随想集です。他界された昨年まで都合四巻あります。
およそ40年近く有縁の読者に届けられた通信。そのなかから第269信の御文章を適宜引用しておきます。
なつぐさを こころのままに しげらせむ みどりのいろは あくこともなし
いへといへの あひだにみゆる 夏山の みどりはとほく そらはれわたる
みせさきに あまたつるせる 風鈴の なりしきれども しづかなるおと(松坂歸庵)
自然-造化に参じ、風雅の誠を養うには、古典なり古人の詩歌・文章なりを味わうことが大切ですが
それには受持・読誦・解説(げせつ)・書写・如説修行”というような効夫を積むことがのぞましいことです。
そこで先ず”受持”すべき詩文を持たねばならぬわけですが、最初は自分にもっとも親しく味える古典や古人の
詩文を選んで、それを自分の拠りどころ、思惟の源泉とすることが大切でしょう。・・・
自然の移り変わりを自身の好きな古典によって深く味わうにはとても有意義な御文章が豊富に綴られて
おります。東洋思想家の先生から教導された恩恵ははかり知れないものがあります。