画家村上華岳の言葉

画家村上華岳の言葉

 野心と功名心と虚栄心と臆病心に固まれる世の人よ。

 威張って虚勢を張らねばならぬ人よ。

 何か自分が強いものであるかのやうに、胸の中には金銭鉄壁でもある鹿屋卯に見せかける人よ。

金を頼み、権勢を盾に、威張らねばならぬ人よ。

忘れられることを絶えず恐れる人よ。

絶えず金に釣られ権勢に懸かり金と功名心の餌に喰ひつく人よ。

しかし大抵の人間は金と功名を見せさへすれば平素の廣言もどこへやら、我さきに、或はオヅオヅ

しながら喰ひつく。

無我の心を知る者には、それがよく分る。

 

日本近代の孤高の画家の心象はとても求道的です。生涯天分の画業に準じた華岳の深い精神性が
窺えるのが名著の誉れ高い『画論」です。