小諸の草笛おじさん

小諸の草笛おじさん

小諸の草笛おじさんといえばあの有名な禅僧横山祖道老師(曹洞宗明治40年~昭和55年、74歳)の
ことです。佐久の隣に位置する小諸の懐古園の一角で22年も草笛を吹きながら一生を終えた
稀有な禅僧でした。

坐禅の神様と異名をとった澤木興道老師の高弟であり、内山興正老師の兄弟子になります。
小諸の懐古園を散策したのはこの旅行が初めて。在りし日に草笛を吹きながら藤村の
千曲川旅情の歌や初恋、惜別の歌などを観光客に披露していたユニ-クな和尚さまでした。

老師がなくなって既に45年もたちましたが、当時生活していたその場所には「千曲川旅情のうた」
が流れるスピ-カ-が設置されていました。そばによって耳をそばだてると哀切な草笛が鳴り出しました。

「ああ、祖道老師のあの草笛なんだ!」しずかな感動とともに老師の坐禅に徹底した生き方を
想いだしました。和尚没後の昭和56年には『草笛禅師 横山祖道 人と作品』(横山祖道遺稿刊行会編)
という豪華本が発行されています。小生の愛蔵図書となっています。

改めて老師の遺稿に接し、坐禅のすばらしさを再認識しました。坐禅信仰の権化と化した祖道和尚は
昭和の良寛和尚といえるでしょう。懐古園の老師のいた一角は和尚ご自身が太陽山青空寺と命名
していたそうな。浅間山と千曲川に囲まれた懐古園の絶景の一点景として忘れられない偉大な

禅僧でした。生前にお会いすることはできませんでしたが、その清らかな禅僧としての深い境涯
には頭が下がります。

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懐古園の名物和尚