わたしは しゃべれない 歩けない
口が うまく うごかない
手も 足も 自分の思ったとおり うごいてくれない
一番 つらいのは しゃべれないこと
言いたいことは 自分の中に たくさんある
でも うまく 伝えることができない
先生や お母さんに 文字盤を 指でさしながら
ちょっとずつ 文ができあがっていく感じ
自分の 言いたかったことが やっと 言葉に なってゆく
神様が 一日だけ 魔法をかけて しゃべれるようにしてくれたら・・・
家族といっぱい おしゃべりしたい
学校から帰る車をおりて お母さんに
「ただいま!」って言う
「わたし、しゃべれるよ!」って言う
お母さん びっくりして 腰を ぬかすだろうな
お父さんと お兄ちゃんに 電話して
「琴音(ことね)だよ! 早く 帰ってきて♪」って言う
二人とも とんで帰ってくるかな
家族みんなが そろったら みんなで ゲ-ムをしながら
おしゃべりしたい
お母さんだけは ゲ-ムがへたやから 負けるやろうな
「まあ、元気出して」って わたしが言う
魔法が とける前に 家族みんなに
「おやすみ」って言う
それで じゅうぶん
この詩の作者は森琴音さん(12歳)という小学六年生の少女
です。事故にあい、その後遺症で肢体不自由となりました。
産経新聞(平成30年10月6日朝刊所収)で紹介されました。
涙を流して感動しちゃいました!