ここまで進化した「碧巌録」

現代語訳碧巌録( 岩波書店)をよみはじめたんですが、目から鱗といった
感想です。唐代の口語がふんだんにある本則に対して北宋の禅僧圓悟が

垂示・着語・評唱と当時の豊富な口語での文章表現をしているのですから、
時代が隔たっているし、難渋なことこの上ない古典でした。

それが、現代の学者グル-プにより最新の現代語となってかくも難解な
碧巌録がわかりやすくなっています。従来の専門道場で伝統的に読み込まれて

きている言葉の解釈がずいぶん訂正されています。注釈なども充実しております
し、すこぶる知的で刺激的な本となっています。

わたしなどは従来の伝統的な読み方に慣れきっていますので、その違いなど
を発見する楽しみがあります。中国の古典はやはり中国語をマスタ-して

おかないと、とんだ言葉の解釈が横行することになりかねない。そんな
懸念も生じてきます。しかし、一方でこれまでの伝統的な読み方に愛着をもつ

わたしなどにしてみれば、それはそれなりで訓読の格調も捨てがたく感じて
います。この現代語訳は言葉の厳密な解釈という点では画期的な研究成果

だと感じました。