過去帳をみると、ときどきハッとする記事があるものです。大正12年に
起きた関東大震災についての記事などもそうです。
午前11時50分関東地方一府四縣に大震災大火災起り世界有史以来の
大惨害を蒙り死者拾餘万人損害百餘億最も甚だしきは本所被服廠に三万
四千人の死者吉原の一千人等なり この間不逞鮮人の跋扈流言 語為に
不慮の災禍を受けたるもの数しれず 故に甘粕憲兵大尉の社会主義者
大杉栄伊藤ノエ他一名殺人事件鮮人支人の誤殺事件等枚挙に遑なき
ほどの可悲事件続発せり 其他流行病の発生、余震等多(9月1日欄)
翌年1月15日欄には
午前五時45分昨年9月1日大地震の余震あり 神奈川県下に亦復
被害あり 人名家屋倒壊等昨年ほどには非ざるも一時電信・話汽車
不通となり一驚す
昭和二年の3月7日の欄には
関西地方大震災ありて全滅の峰山町あり関東地方大震災程の
死傷なきも死傷五千と称せらる 大都市なき為に幸に死傷少な
かりしならんにも災後降雪多き故に困難は東京地方より以上の
様子なり
北陸の雪の大被害と相俟って実に惨鼻の極みなり降雪の被害
二百年以来未だかつてなき積雪全滅の部落等あり 福井県に
全滅の寺院あり汽車不通18日間以て其の甚だしきを知るべし
我が国が地震列島であることを思い知らされる記事です。二年前の東日本
大震災をよみがえらせる記事でした。