佛々祖々、皆な本は凡夫なり

示して云く、仏々祖々、皆な本は凡夫なり。凡夫の時は、必ずしも
悪業もあり、悪心もあり、鈍もあり、痴もあり。然あれども尽く改め

て智識に随て修行せしゆへに、皆仏祖と成しなり。今の人も然あ
つべし。我が身愚鈍なればとて卑下することなかれ。今世に発心

せずんば何れの時を待ってか行道すべきや。今強て修せば必ず
しも道を得べきなり。
(「正法眼蔵随問記」巻第六)

大本山永平寺の御開山道元禅師の有名な言葉です。何度拝読しても
いい文章です。意味も解りやすいし、納得できるんですが「言うは易く

行うは難し」のとおりで、斬鬼に堪えないです。己の力量如何を問わず

修行に励めば、例外なく仏祖になれる。実に力強い禅師の慈悲心が
伝わってきます。