安積疏水の画と漢詩

古書店からのハガキがきたので、さっそく出かけてきました。もう一週間ほど前に
なるんですが、いい本を見つけられて幸せでした。

「桜関詩抄」(上下二冊・和装本)と「苗湖分溝八図横巻」です。「詩抄」は磐城平藩の儒者と
して活躍した室桜関先生の著者ですが、明治25年の発刊です。漢詩集ですので、

興味のない方には魅力のない書物でしょう。しかし、幕末明治のあの激動の
時期に藩主安藤信正に従って藩政改革の実をあげた学者でありまた兵法家でも

あった、いわきを代表する儒者でした。安藤家六代目藩主時代からの藩校であった
施政堂を明治初年に佑賢堂にあらためて、教育に尽力した教育者でもあります。

室桜関先生の一生を知ればしるほど偉い学者であったことがわかります。ずいぶん
以前から先生のこの本を探索していたのですが、ようやく入手できました。

それから「苗湖分溝八図横巻」は偶然見つけたものです。郡山の安積疏水の
景勝地を八ケ所選び、画は大須賀?軒で漢詩の賛は岡鹿門がつけています。

二人とも明治に活躍した文人で鹿門は仙台出身、?軒はいわき出身です。安積疏水
は明治12年に工事を着工し三年後の15年に完成しました。

漢学者の鹿門と同じ?軒の二人の恩師は安積艮斎先生でした。艮斎先生は
江戸の学問所であった湯島聖堂の学者として有名な方で、若き吉田松陰なども

先生から漢学を教えられたのでした。今年は長年探し求めていた古本を入手でき
たので、自分でもよく知らない漢詩などを読んで楽しんでいます。