蓮月尼の和歌

 宿かさぬ 人のつらさを なさけにて おぼろ月夜(つくよ)の 花の下伏(したぶし)

 世の中の ちりもにごりも 流れては きよきにかへる かもの 川波

 山郷は 松の声のみ ききなれて 風吹かぬ日は さびしかりけり

 

女性の歌人にて秀れたるは、室町初期の「風雅和歌集」に二三の作者ありて後、いと久しく
打ち絶えたるに、徳川末期に至りて太田垣蓮月尼出で給ひき。(与謝野晶子)

「蓮月尼全集」(村上素道編著、昭和二年刊」をときおり開くことがあります。編著の素道
老師は明治生まれのj曹洞宗の禅匠です。当地出身の原坦山老師が住職していた

京都の心性寺に一時仮住いしていたこともある蓮月尼は老師と一緒に比叡山に
出掛けて、天台学の講義をうけています。あの豪放磊落で知られる特異な禅僧と

つれだって生活していたことはとても興味深いことですね。