東京家族観てきました

山田洋次監督の「東京家族」を今日になって観ることができました。
小津安二郎監督のあの有名な映画「東京物語」のレイメイク版と言えると
思います。

もちろん、当代を代表する松竹のドル箱監督のことです。自身監督生活
50周年記念作品ですので、たんなるリメイクではありません。

世界の小津監督の完成された撮影手法であるロ-ポジションや人物の
アップや夫婦の並べ方など随所に小津らしさを多用しています。

導入部分である長男家族の子供たちが通学路でじゃれあう姿や後半に
登場した故郷の英語教師のずっこけ具合などは寅さんシリ-ズでも

おなじみの山田ワ-ルドでした。能楽などの古典芸能にも造詣が深かった
小津監督は必ずといっていいくらいその場面を取材していたので、どんな

形で山田監督が紹介するのか気にしていました。なんと、二男のフリ-タ-
みたいな不安定な生活をしているのが舞台美術の仕事をしている。そんな
設定でした。

歌舞伎のシ-ンでしたね。とてもよかったです。

主役の老人役が見事でしたね。能の重い曲でのシテを演じているような
重厚で存在感あふれる演技でした。橋爪 功が舞台役者であることを

思い出させてくれたいい演技でした。人生いろいろでしょうが、「東京家族」
をみて家族の絆を考える人たちも増えることでしょう。

次男と恋仲になっているノリコとの出会いは3.11で津波と原発事故の被害をうけた
南相馬でのボランティア活動だったなんて心憎いほどの今日性を切り取った
シ-ンもあり、被災地に住むわたしにとっても感慨深かったです。

とっても素敵な家族映画でした。松竹路線はまだまだ健在ですね。