徳富蘇峰といえばなんといっても全100巻というう膨大な著述『近世日本国民史』を思い出す。
若いころに幕末の政治顛末に興味を持ちだしたとき、この著書のお世話になったことである。
手許には『久世・安藤執政時代』『井伊直助執政時代』それに『文政天保時代』が並んでいる。
蘇峰は明治の先駆的ジャ-ナリストだったが、出身は九州の水俣である。その後、熊本市内に
引っ越しをしている。少年時代をすごした場所は現在『徳富記念館』として一般に開放されている。
夏目漱石が熊本で過ごした下坪井旧居から徒歩で30分くらいのところにその記念館があった。
そこで、蘇峰の一生の概略などを具体的に学ぶことができた。若いころ新島襄に心酔し、
終生その恩義に感謝して、新島の奥様の八重夫人の晩年の経済的援助を惜しみなく施し、
夫人の遺言どおり夫人死去のあとには墓地の題字をしたことなどなど・・・。
観光は”世の光を観る”というのが本来の意味だそうだ。旅行で訪問したときに、その土地の
歴史や文学を知るのは実に楽しい知的な散歩になるとおもう。
蘇峰は晩年を熱海で過ごした。そんなことから二宮町には蘇峰記念館があるという。
次回熱海に出掛ける際には蘇峰記念館を覗きたくおもう。