巌頭禅師と欽山禅師の問答

久しぶりで語録を開いてみました。「鉄笛倒吹」(てってきとうすい)という禅の書物です。

宗門で名高い玄楼黄龍和尚の著述です。その講和本の講釈は日置黙仙禅師です。
日置禅師は大正時代に活躍した大本山永平寺の貫主猊下。
玄楼禅師は江戸中期から後期にかけて活躍した禅僧です。弟子を鍛える手段が
大変厳しいことから狼玄楼とあだ名がついたほどの禅機の鋭い禅匠でした。

その著述の第54則にあるおもしろい問答にこんな著語(じゅくご・短評)がでてきました。

友を求むるは須く己に勝(まさる)べし

人間一生は長くもあり短くもあるのですが、友人を選ぶのはとても大切なことです。自分の
力量以上もある友人を持つことでどんなにか鼓舞されることでしょう。

巌頭(がんとう)禅師は唐時代に活躍した天才的な禅者ですし、わたしの好きな禅僧の一人です。欽
山もまた同じ時代の有名な禅匠。この則での二人の問答をみると「道友」の友情ほど素敵な
出会いはない。そんな気がしてきます。