澤木老師の肉声が聞こえてくる

ここに一冊の本があります。題して『澤木興道聞き書き  ある禅者の生涯』(酒井得元著)。
久し振りでブックオフを覗いていたらこの本に出会いました。

澤木老師は徹底した坐禅の行者として知られた曹洞宗の禅僧です。幼少期の地獄をはいずる廻る
ような逆境をものともせず、念願の出家を果して坐禅ひとすじの尊い生涯を送りました。

坐禅に志を抱いた者で彼の名を知らない人は皆無でしょう。その徹底した境涯は『澤木興道全集 全19巻』に
詳しいです。

小生が全集の第一巻を手にしたときはまだ出家する前の工業高校生の時でした。いまでもそのことをよく覚えています。
それ以来出版社であった大法輪閣からぞくぞくと全集が発刊されました。大学時代にその全集を
揃えたことはいうまでもありません。隅から隅まで読破してしまいました。

酒井得元先生には大学の坐禅の授業でお世話になりました。当時(昭和44年)は竹友寮におられて、
学内での坐禅指導とともに若い小僧さんの指導をもされていました。沢木老師の高弟です。

ブックオフの書棚にこの単行本を見つけたので、さっそく買ってしまいました。澤木老師は昭和40年に
亡くなっておりましたので、生前の老師の風貌に接することはかないませんでしたが、高弟の酒井
老師にはかわいがってもらいました。都内の坐禅会などに指導に出掛けられる際には親しく声を
掛けていただき、タクシ-に便乗させていただいたことなどを思いだします。

この本を読み進みますとどこからともなく老師の肉声が聞こえてきそうな感じです。

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純一無雑の只管打坐の生涯で一生をぶちぬいた傑僧として記憶に残る大人物ですね。

禅者澤木興道の波乱の人生とは