夏ともなると若い時分には近所の小川でよく蛍をみたものです。しかし、
その後はそんなささやかな夜の散歩の楽しみもすっかり忘れてしまいました。
幸い、知人の情報でやさしい篠笛の奏でる音楽を楽しんだ後、付近を流れる小川で蛍をみる
機会があり、嬉しくかんじたことです。今年の嬉しい出来事となりました。
西郷南洲の「失題」という漢詩があるそうです。
我が家の松籟塵縁を洗ふ
耳に満つるの清風身遷ならんと欲す
謬って京華名利の客と作り
此の声聞かざること已に三年
まさにこの詩の如く蛍を探しながら「ホッ、ホッ蛍来い、あっちの水は甘いぞ・・・」と
近所の友達と夜遊びをしたことを、懐かしく思い起こしたことです。