浮生半日の閑

晩春から初夏の候にかけては、さまざまの花が咲きつぎ、新芽も日々に
のび、天地の間(かん)に和気、清新の気が満ちて、誠に天下人間(じんかん)
の好時節です。      楠葉だより(第254信)

 終日昏々酔夢の間(かん)
忽ち春尽くると聞いて強ひて山に登る
竹院を過(よぎ)り僧に逢ひて話するに因りて
又得たり浮生半日(はんじつ)の閑(かん)

     題「鶴林寺」(唐・李渉)

こういう便りに接すると季節の変化に敏感になりますし、自然の
営みと人生を味わうのに有益ですね。同じ便りにはこんな文章も
紹介されています。

一切草木の花は皆是れ天地の和気より発生す。実に是れ
自然の荘厳なり。・・・・・是を神佛に献ずる、其の趣甚だ深し。

                             (天如閑々子「神道大意)

漢詩などは意味を知ることよりも、まづ心に響いた感じを大切にして
何度も繰り返しながら口ずさむことがその詩を味わううえでは肝要

ですね。

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