義父との別れⅢ

いつもおじいちゃんの部屋へ行くと、だいたい会話は決まっています。

おお、来たのか、と迎えてくれて、近況報告、そして最後にはかならず、お前、身体に気をつけて、ちゃんとやれよ。と言うのです。身体に気をつけなけばいけないのはおじいちゃんの方だと笑いあいましたが、力強い瞳で、いつも私たちを送り出してくれました。これから、あの会話がなくなると思うと寂しい気持ちでいっぱいです。
 
危篤の連絡をうけ、家族がいっせいに集まったとき、おじさんや両親を中心に、私たち孫もできるだけおじいさんのそばにいました。危篤の連絡から、亡くなるまでの2週間弱、私たちはおじいさんのことを沢山考え、色々な事を思い出しました。
そして、今日は自分でも驚くほど落ち着いた様子で、おじいさんとのお別れを受け入れることができます。段取り第一、用意周到のおじいさんのことですから、急に死んで、私たちが動転しないよう、生と死の間を少しの間、頑張って行き来してくれたのだと、勝手に思っています。
 
今日、おじいさんが私たちにしてくれたことに対して、何ひとつ恩返しができぬまま、見送らなければならないことが、悔やまれます。おじいさんの気丈さに、私たちは存分に甘えていたのだ思います。
もっとおじいさんに顔を出せば良かった、色んな話しをすれば良かった、とも思いますが、これから私たちが家族を持っていつか孫ができた時に、おじいさんがしてくれたことを思い出します。おじいさんは私たち孫にとって、最高のおじいさんでした。
 
ちゃんとやれよ、といつも送り出してくれたおじいちゃんの意思をついで、これから頑張って生きて行きます。残したおばあちゃんのことをはじめ、きにかけていることは沢山あるでしょうが、どうぞ心配せずに安らかにお眠りください。
 
私たちはおじいちゃんの孫に生まれたことをとても誇りに、幸せにおもっています。
おじいちゃん、本当にお疲れ様です。そして、ありがとうございました。
 
孫代表・村上聡子