恩師の退院

このほど長年の恩顧を頂いている大学教授が退院しました。退院というと入院していた病院を
退院したとおもわれてしまうかもしれません。でもこの退院はお寺の住職を退いたという意味です。

住職になったことを入院(じゅいん)といい、後席を副住職に譲って自ら住職を退くのを退院と
いいます。退院するときの正式な儀式法要のことを退院上堂といいます。

すでに70代も半ばを過ぎております。まだまだ元気ではありあすけれども、副住職も家庭を
もち40代ともなればそれも一理ありますね。そんなことがありましたので、七言絶句を恩師に

贈りました。

 師恩有益多年親  しおんゆうえき たねんしたしむ

 挙一明三賢察人  こいちみょうさん けんさつのひと

 飛錫東西百千里  しゃくを とうざいに とばして ひゃくせんり

 如今退董養残身  にょこん たいとうして ざんしんを やしなう

恩師には大学生当時からの御縁を今日までいただいてきています。先生は大学教授と
大寺の住職を兼ねて東奔西走し大学を退官してからも精力的に国際的にも活躍されて

おllりますが、このほどようやく住職を後任にまかせることとしましたので、今後は健康
などにも一層留意しながらの活躍を念じております。そんな意味です。

挙一明三 は一を教えればそのほかの残る三つのことまでも解決できる優れた能力のある
人物の怜悧な働きを意味します。禅語です。

師恩有益は幕末の勤王思想家である吉田松陰の言葉です。