「奇なるかな、奇なるかな。大地と有情と同時に成道す。」こんな言葉をゴ-タマシッダルタは
吐かれたといいます。12月8日の明けの明星をご覧になった新生釈尊の悟りの感慨です。
人類の聖者として尊崇されている釈尊が菩提樹下での禅定によって大宇宙の真理に目覚め
られました。「有情非情同時に成道す。草木国土悉皆成仏。」とも。
いづれにしてもご自身の長い苦行生活でも成し遂げられなかった輪廻からの解脱を成就され
た瞬間の喜びがこうした感激の言葉となったのでしょう。気づいてみれば坐禅をしているご自身
のみならずすべての物が悟りのままの素晴らしい世界なのだ。それほどの崇高な自覚を得られた
のでした。「天地は一大経巻である。」と喝破した二宮尊徳もその心は釈尊と同じ感慨を抱いた
ことでしょう。曹洞宗の開祖道元禅師の「山水経」には禅師独特の表現でその様子が巧みに
表現されています。「而今の山水は古佛の道現成なり・・・」j朗々と声にだして読める名文です。