合気の達人佐川幸義

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一気に通読しました。著者の木村達雄氏は東大出の数学者です。かたわら武術や合気道の習得に精進し
最後に佐川先生を終生の師と仰ぎ合気の極意を模索した方です。

佐川先生は大東流合気武術を極められて95歳で亡くなる前日(平成10年3月23日)自宅で三回すごい技を
したそうです。

その場面を抄録してみましょう。

 私の顔を見ながら「合気は力ではないのだ」と何回か静かに言われた後、最後に三回、その例の技を
 やられました。

 これはあとで聞いた話ですが、先生はもはや前回のようにっスッと立ち上がるのは無理で、左手で椅子
 の肘掛をグッと下へ押して立ち上がり、右手打ちをされた。しかし三回目は左手の力も尽きて立ち上がれなく
 なったので、ご自分のすべてをかけられるように、右腕を真上へグ-っと伸ばして右手打ちをされた。

 私はといえば、夢中になって先生にかかって行ったし、三回とも、どうしても手で防ぐのが間に合わずに、
 頭から畳に激しく突っ込んでしまっていましたので、違いは全くわかりませんでした。そのあと、先生は
 「ものすごく疲れた。これでわからなければ、どうしようもない」と言いながら奥へ入られ、次の日になくなられたのです。

佐川師範は写真を撮られることを好まなかったようで、ユ-チュ-ブには残念ながら載っていません。しかし、この本の
第六章佐川幸義宗範語録はすばらしい名言の数々が紹されています。人生の真実がちりばめられた言葉の泉
といえましょう。ぜひ、読まれることをおすすめします。