佐川宗範語録から

本当の鍛錬とは

 人間は生きている限りかわることができるのです。生きているということは、そういうことでしょう。
 私の年になってまで鍛え続けている者はないだろう。力はなくなってきても、鍛え続けることによ
 って何かが出てくる。

 

 なんとなくやっているうちにうまくなるというものではない。やはり集中しなければとてもできるも
 のではないのだ。そしてわたしが教えなかったらとてもポイントもわからない。

 二、三年前に新しい鍛え方を思いついて、それからどんどん変わってきた。それに今でも毎日
 腕立て伏せを百五十回はやっているよ。(平成三年、佐川先生八十八歳)

 

弟子になって、著者が数学の研究で、ドイツとフランスに行くことになりました。

せっかく佐川先生の弟子になれたのだから、つながっていたいと思い、
鍛え方をおしえてくださいと、今思うと、佐川道場では許されない
ような質問を当時は平気でしていました。

すると「四股を毎日千回やりなさい」と。やり方も何も教えてくれない、ただそれだけです。
やると二百回くらいで股が痛くなる。「先生千回なんてできません」というと、「何言っているんだ、
私は四股をやり続けたまましぬことができる」といわれてしまいました。

師匠がすごいと、それについてくる弟子もさすが強者ではないと技量も精神も身につかないもの
なんでしょう。凡人には想像できない集中力と異常な持続力がないとそうした高い境地を
得ることはできないものなのでしょうね。