滴水下の禅僧たち

幕末から明治にかけて有名を馳せた臨済宗の禅僧。それが由理滴水老大師です。

(文政5~明治32)、京都嵐山の天龍寺から輩出した禅僧といえば関誠拙、山田
無文、関牧翁それに大森曹玄がおり旦中居士こと寺山葛常師もそうですね。

滴水43歳の時には天龍寺が兵火にかかり、その再興を荷いました。50歳で
開山夢窓国師の天龍寺住持となり、翌年には禅三派を代表して管長に推されました。

激動の明治4.5年のことです。山岡鉄太郎こと鉄舟居士参禅の師匠としても知られて
いる傑物ですね。いわきとの関係は直接ありませんが、愚庵こと天田鉄眼は滴水の

下で出家得度しました。市内松ケ岡公園にある愚庵邸はかつて京都にあったものを
解体移築したものです。

先日伺った「現代墨蹟研究会」で披露された全紙幅(横63㎝×縦70㎝)の「雲」の
大幅はじつに見事な出来栄えでした。雄渾で洗練されたもので一気に仕上げられた

ようです。墨気がきよらかでしたし、リズミカルな擦れも美的でした。