先日、安積疏水の景勝地を詠んだ「苗湖分溝八図横巻」のことを紹介しました。
そういえばと思い当って「磐城小川江筋沿革史」を開いてみましたら、沢村勘兵衛
の生誕400年になるんですね、今年は。勘兵衛は慶長18年生まれだそうです。
小川江筋は内藤公が平藩主であった時代の慶安4年(1651)に起工し3年3ケ月
かけて30㌔の大工事を敢行したとされます。小川の夏井川から平窪をぬけて四倉
までの長い土木工事はさぞかし難儀したことだろうと思います。
勘兵衛を祭っているのが沢村神社です。敬神の念深かった金賀源三郎が自身の
所有地を寄付して創建されたもので、現在でもその子孫が代々宮司を勤めています。
「沿革史」(昭和59年刊)によれば、その工事のいかに困難な大事業であったかを
想見できます。この水路工事が完成したことで長年干ばつに悩まされて、天水のみ
の雨水をたよるだけの農民の多年の苦しみが解消されたわけですから、神社に
祭神として祭られているのも頷けます。忘れることのできない磐城の大偉人といえ
ます。