遺経を読む

「遺経」(ゆいきょう)はオシャカさまの御遺言を記したお経のこと。正式には「佛垂般涅槃
略説教誨誡経」と申します。この経典は禅宗では重んじられている経典です。

今朝から大広間の床に掛けた「釈尊大涅槃図」の前でこの経典を読み始めました。来月に
15日はオシャカさまの御命日がやってきます。その一か月前にはこうして涅槃図を掛けて

その偉大なお徳を偲びながら、毎日報恩感謝の読経をすることにしております。この経典は

インドでなくシナ時代の中国でつくられたという説が有力です。作者名は知られていません。
経典には作者名がないのが当たり前です。万人が拠り所とすべき真理が説かれている。

それがお経というものの性格なので、個人名はないのです。インドでできた経典を中国
語に翻訳した場合は翻訳者である仏教学者(三蔵法師と呼ばれます)の名前が知られて

います。この遺経はいつ読んでも、何回読んでも心に響く文言があります。じつに立派な
内容を持つ経典で私の好きな仏典でもあります。